デザインで日本を変えよう

株式会社 野村デザイン研究所 LIFEENTERTAINMENT+STYLE 野村日記

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スタイルメント新卒研修 アーカイブ

2007年05月20日

新卒向け社長研修

スタイルメントを設立して10年が過ぎ、その間、僕はずっと経営者をしていたわけですが、10年前と今では全くと言っていいほど仕事の内容が違います。

会社を運営するために必要なのは「良い仕事」「良い環境」「良い教育」だと会社設立当初からおぼろげながらわかっているつもりでしたが、「良い教育」というところまでは手が付けらないのが現実でした。最近になってやっとしっかりと取り組んでいこうとしています。

まず、会社での教育とは社会に役立つ人材育成だと考えているのですが、この当たり前だと思うことがなかなか難しいのと、その意味は伝わりにくい。
そこで会社として必要なのが自らで育つ環境を含めた仕組み作り。最近、やっとそのバックボーンの構築が進みました。何年も前から取り組みはしていたのですが、なかなか実を結ぶことが無く、焦りは募るばかりでしたが、やっと光が見えてきました。

会社としての課題は教育システムをしっかりと構築する事。来年度からはかなりの予算を割いて仕組み作りをしていこうと考えています。

社会に取って必要な人材はまずは会社にとって必要な人になることが大切です。いろいろな講習会、セミナーへの出席をしてもらう事はすでに何人ものスタッフにお願いしていて、なかなかの成果が出始めました。それに加え外部講師に数名来ていただいて月に何度か講習会を開いています。同時に社員から社員への講習会も始める予定にしています。その中で社長が月二回新卒社員に対して直接研修を行うプログラムを今年から始めました。

先週の金曜日はその社長研修を行いました。
僕の研修はとても単純で基本的な事を伝えられればいいなと思っています。
今回のお題は「何故、30分早く出社して掃除をするのか?」という話をみんなで考え、社長としての思いを伝えました。
掃除という仕事のとらえ方は会社によって様々で多種多様な方法があります。
朝、全員で一斉に行う、
管理会社に来てもらって社員は一切行わない、
バイトの仕事として社員は行わない、
専門部署をつくる。
本人に任せる。
等々、考え方はそれぞれ確実なものがあり、どの考え方が一番良い等と言うのはないのですが、スタイルメントでは新卒の仕事として他の社員よりも朝30分前に来て会社全体を掃除をしてもらっています。7,8年前に僕がルールを作ったりました。若干ルールは違っているようですが、経営企画室がそれを運用してくれています。

では「何故、30分早く来て掃除をするのか?」の意味とは
1つめは、自分は仕事が出来ないということを認識すること。
2つめは、会社全体を見渡すことでどんな環境なのかを理解すること。
3つめは、新鮮な目で新しい環境を提案をしてもらうこと。

1つめの理由は、会社とは社会に役立つ接点なのだが、会社に入社したての頃は全く何も仕事が出来ないといってもいいだろう。しかし掃除なら誰でも一生懸命やればできるはずなので、それをする事で先輩達に出来るだけ気持ちの良いところで仕事をしてもらう。改めて自分が仕事が出来ないことを認識するのと、教えてもらうという謙虚な気持ちになってもらうことと、一生懸命やれることをやると結果に繋がる事を理解してもらいたい。
2つめの理由は、会社は昨日出来上がったのではなく、退職していった人を含めみんなが一生懸命仕事をした結果として今の会社が存在します。会社の環境という資産にはにはいろいろと理由があり、その資産を知ること、守ることそして、先輩達に対する感謝の気持ちを持ってもらいたい。
3つめの理由は、普段の会社生活をしていると当たり前だと思っていることに慣れてしまっているので、新鮮な目でそれを判断してもらいたい。会社をもっとよくしていく為には常に改善していこうという気持ちと行動が大切で、環境に対して満足しないという目も養う。
何となく、古い考えなのかなとも思ったりするのですが、僕は人が育つということはこんなとても基本的な考え方が重要なのではないだろうかと思っている。新卒がしっかりと教育され、次の世代に先輩として後輩達に教育をしていくことで会社の文化が出来上がっていくのだと信じている。教育とは即効性のあるものとそうでないものがあり、大概は即効性はないのだが、続ける事に意味があると思っている。

新卒の彼らが成長すればするほど、一生懸命であればあるほど、経営者である僕も含め先輩達も自分を省みる良いチャンスになるとも思う。

ガンバレ新卒。

2007年05月20日 03:55

2007年06月06日

新卒向け社長研修2

先日に引き続き新卒向け社長研修話題から。

R社というお付き合いを開始して4年目のクライアントについての話です。
研修では当時の担当K君からの視点で話をしてもらいましたので、僕の視点から書いておきます。

人が成長していくためには乗り越えて行かなくてはならない壁があります。
昔のことわざ?に「苦労は買ってでもしろ」というのがあるが、まさに苦労して壁を乗り越える事ができれば、同じような壁は軽く乗り越えることができますからね。
でも、乗り越えられないときは必ずあります。
そんなときは僕も一緒になって乗り越えて行きたいと思います。

R社は現在ではとても信頼感で結ばれ、最も大切なクライアントの一つです。
しかしその関係もはじめからそうだったわけではありません。

「この10年で一番思い出に残っている仕事は?」
と、ふと考えた事が有るんですが、真っ先に思い出したのがこのR社の事でした。

デザインを請け負うという仕事は、受注してからその仕事に合ったプロセスでスケジュールを作成し、それに合わせタスクを消化し、納品にこぎ着けるという仕事です。もちろん、基本のプロセスはあるのですが、あくまで基本は基本ですので、その時々の色々な状況によって変化させることが大切な事なのです。

R社からの依頼は大量なデザインを短納期に毎週毎週納品するといった、今まで私たちが行っていたデザインプロセスからはかなりかけ離れたものでした。
週に4,5本、月に20本以上の新規デザイン。
原稿入稿から納品までは非情に短納期。
こちらの窓口になる担当者1人に対し、クライアント側の担当者は7,8人。

この仕事を受けるにあたり相当悩みましたが、担当の方がとても魅力的だったこと、R社自体が社会的にとても魅力的な会社なこと、デザインの基礎を新人デザイナーに学ばせるのに大量のデザインというのは大切である事、などからこの仕事を受けさせて頂くことにしました。

仕事を頂くようになって初めの頃、それはもうクレームの嵐でした。
最悪の日は一日に何本もクレームのメールが到着してしまうような、最悪の状態でした。もちろん担当者は徹夜続きで帰れない日々が続いていました。
納品物だけ考えて、月に一度納品するだけであれば今までの仕事の仕方でも十分こなせた仕事ではあったのだが、毎週5本納品しなくてはならないこと、同時並行で15本くらいの仕事が構成、デザイン、制作、変更、修正、納品、等の様々なタスクが混在しているため、その整理だけでも相当な時間がかかってしまっていました。

ある日担当のK君とR社へ向かう山手線の中で「僕はこんな仕事をする為にこの会社に入ったわけじゃない、やりたいことがあるんです」と、ぼそり、クレーム対応と徹夜続きで完全に憔悴しきって、今にも「今日で辞めさせてください」と言い出しそうなK君に話をしました。

「やりたいことがあるのにこの仕事乗り越えられなかったら、やりたい事なんて絶対にできない」

と伝えましたが、K君は力なく頷きました。

それからが反撃開始。

私たちが掲げた目標は、「R社からの信頼を勝ち取る」
そのためには
私たちもR社もストレス無く進行し、体力的にも徹夜をしないで制作し、結果的に少しでも良いデザインを排出する。
さらに、当時は大赤字になっていた予算に対してもしっかりと利益を追求してゆく。
ということを意識していくことが大切。

そこからが方法論の構築です。
今考えれば制作現場におけるプロセスマネージメントという考え方です。
担当者は仕事を遂行していく際にはその仕事にのめり込んでしまい回りが見えなくなってしまう事があります。仕事が巨大で有ればあるほど、分からなくなってしまいます。そのためには今自分が何をしているかを、全体のプロセスからしっかりと把握する必要があるのです。要はミクロとマクロの視点を担当者に分かってもらうこと。

私たちがミスを犯してしまうのは、短納期なのに、いろいろな担当者から好きな時間に好きな事をいわれ、修正、変更を繰り返し、約束の時間に間に合わなくなってしまう事と、このようにしてくださいという制作のルールを渡されていて、そのルールが複雑だったこと。
しかし、これはR社の担当者が少しでも良い物を作っていきたいという現れで、私たちも出来るだけ、それに答え良い物を作って行こうと思い、必死になって答えていった結果からだったのです。

まずはクレームの内容をすべて洗い出すことから始まりました。それは今でも残っていますが、項目だけ見ても3ヶ月程度で100を超える、ものすごい量のクレームでした。

徹底的にワークフローの分析と再構築、それにともないタスクの分析と再構築。打ち合わせのルール化。チェック方法の再構築、メールヘッダ、内容の記述のしかた、デザインのフォーマットの新たなる考え、等々。ありとあらゆるモノをルール化し次々と提案。直ぐには受け入れてもらえないルールなどもあったが、再度見直し再提案していきながら、徐々にルール化することに成功していった。

その間、おおよそ、6ヶ月程度だっただろうか、ほぼクレームはゼロになった。
ほぼ、僕らの掲げた目標は達成できたのである。
K君はとても超えられないと思っていた壁を乗り越えることが出来たのです。

このプロセスマネージメントという仕事の仕方は、誰が何を何時どんな風に行うのかとう事を確実に作り込み、その進行管理と全体把握がとてもしやすく、ミスが起きても直ぐにその箇所を修正することが可能にすることが出来るようにするもの。タスクをやスタッフをブロック化して管理することが出来るので、デザイナーはデザインをする時間を以前より多く時間を掛けることができるようになり、そのクオリティも自然と高くすることが出来るようになるのである。

今では、そのルールの元で仕事が行われています。
僕がそのプロジェクトを見ることは全くありませんが、このプロジェクトの業績も認められ、R社からは他の案件も頂くようになりました。
K君もこの仕事からはなれ、少し自分のやりたい仕事に近づいていきました。

すこし残念なのは、そのルールはブック化してあるのだが、そのときに出来上がったルールからほとんどアップデートがされていないこと。ルールは時が経てば次第に色褪せてしまうのが常であり、技術的にも進歩しているので、そろそろ大幅なアップデートを行わなくてはならない。と思う今日この頃です。

R社の懐の深さに感謝。
と共に、
K君を始めこのルール化を一緒になって作ってくれたスタッフと、それをしっかりと守って進行してくれている現在のスタッフに感謝。

2007年06月06日 00:03

2007年08月11日

なんの価値もない「石ころ」を買ってもらう。

先日の新入社員研修でゲームをした。
「なんの価値もない「石ころ」を買ってもらう方法を考える」というゲーム。
何故、こんなゲームをしたかといえば、以前ある企業で20代にして取締役まで上り詰めたセールスマンと知り合いになり「俺は石ころをいくらでも売る事が出来る」という言葉を聞いた事があったからなのです。
その言葉にはもとても真実みがあり、その言葉を時々思い出しては、なんの価値の無い石をどうやって売ることができるのか?と考えてはみるのだが、決定打に欠ける答えしか思い浮かべられなかった。
これをゲームにしてみることでもっと掘り下げたモノがみつかるかもしれないと思ったのが事の経緯。

まずは「石ころ」をテーブルの真ん中に置き、誰にいくらで売れるか?その方法を考えてみようとお題を出す。
いろいろな意見がでてきて100円や200円で売る事は出来たのだが、なかなか高価な対価を支払う意見が出てこなかった。
そのうち、スタッフの中で俺は絶対買わないと言い張る者がいたので、その彼をターゲットに売り方を考えてみることにした。

結果は、ほんの10分足らずで、なんの価値もない「石ころ」は2万円で売れた。

至ってシンプルな回答だったので、拍子抜けなのだが、その彼は広末涼子の大ファンで有ることがわかり、「広末涼子がこの石を1万円で買ってくださいとにっこりしたらどうする?」と質問をした。「2コ買います」とあっさり買っていただくことに成功。ついでにそのなんの価値のない石を大事に取っておくとの事。無事ゲームセット。(本来は自分自身が相手に売る事が大切なのだと思うのだが、この場合は想定で。)

これは彼が広末涼子の大ファンだったから出来たことなのだが、なんの価値もない「石ころ」が彼の「大切な石」に変わり、その「大切な思い出の値段」は2万円と言うことになる。
もちろん彼がその石を第3者に売ることは不可能だが、金額には変えられない幸せを受け取ることが出来たということがわかる。

さて、これを言い換えてみると「うれしい」と言う感情の描き方を探す事。
「うれしい」という感情が生まれるとき、その人だけの価値が生まれ、思い出の形として「欲しい」という欲望に変化した。
同じモノを購入するにも「何処で」「いつ」「誰から」などの要素で価値が変わり、ほんの些細なコミュニケーションから対価が変化するのである。これは一例で、人によってその「うれしい」という感情の描き方は違うのだが、それを考えることが大切である事を理解させてくれる。
彼にとってもっと「うれしい」状況を作れば、支払える範囲でさらに高い対価となるはずである。しかしこの考えは行きすぎると危険な事も理解も出来る。
まとめると感情的な相対的価値の尺度を測るには一番大切な事はその人を知ること。その価値を享受できれば精神的な満足を得ることが出来る。
受手側から考えると、相対価値を自らで構築できるBuild To Orderなどの商品購入方法も、利便性だけではなく感情を捉える事も大切。

さらに、逆から考えると感情で捉える「共感」という表現手法を持つことで、相対価値を作り上げることが可能であり、それを構築し表現することがデザイン。言い換えればブランド作りである。

このゲームでは、「感情を満たす事はお金より大切である」と言う事を確認できる。

2007年08月11日 01:35

2008年05月07日

「考えて、行動する」為に必要な「感じる」事。

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07年度のスタイルメント新卒社員がAwakeを全部で4号作り上げてくれました。

「社内報を新卒の社員だけで一年間4冊作ってください」
私が新卒社員にお願いした事はこの一言です。

06年度の新卒社員が作り上げてくれた社内報Awakeを元に、さらに有意義で、4号発行して欲しいとお願いしました。

この課題で重要な事は「考えて行動する」こと。
もう一つはもっと大切な「感じる」こと。

ある場所にに到達する事を目標とする
こんな事を聞くと、今ならグーグルマップや乗り換え案内等に現在地と目的地を入力しルートと所要時間を確認して、目的地に合わせた持ち物や服装を準備して、「行ってきます」
みたいな回答になって、とても安心、優等生パチパチ拍手です。
しかし、物作りという「無」から「有」を生み出す為に必要な事はレールに乗ってしまったら身に付きにくいのです。

脱線しましょう。
何もない野原に投げ出された自分を想像してみてください。目的地は右ですか左ですか?そこで「感じる」事を知ることが出来ます。
そこには同期という仲間がいます。みんなで感じた事を話し合い、どうしたら良いのか考え、アイディアを出し合い、準備が始まります。
何を持って行こうかとか、何を基準にどの方向に動いたらいいのかとか、そこに信頼が生まれたり、尊敬が生まれたり、役割分担が生まれたり、摩擦なんかも生まれます。
「感じる」ことから、「考える」事が出来るようになるのです。

出発して、誰も見たことのない大きな障害物に出会いました、さてその時どうやって乗り切って行くのでしょうか?それこそ、何百通り、何千通りあります。その中でどうやってベターを探す事ができるかが鍵になります。誰かの思いが強すぎて争うような場面もあると思います。全員生きてきた環境が違いますし、信じているもが違います、それを自分たちで解決していく事が大切なのです。何度も何度も話し合いをすることで理解が生まれ、信頼が生まれ、尊敬がうまれていくのです。そんな事を経験しながら目標に達成した時には大きな喜びが得られるはずですし、もっとも大切なのは方法論を先輩から教えてもらうのではなく、方法論を生み出す事が出きる自分を発見する事なのです。

私がよく言う、物作りに一番大切な事は「どんな人とも仲良くする事」の意味が少しでもわかってもらえていれば嬉しく思います。
もう一つ言うなら、自分や仲間が何が得意で何が好きなのか分かってきます。そこに自らの新しい目標設定も生まれきます。

目的地を見失わないこと。
全体像を確認すること。
作業中は一生懸命やる。

「無」から「有」を生み出す事は簡単な事ではありません。
目的は忘れないようにして全体像を確認し、作業をし、また全体像をつかみ直す。
この作業を1人でやっているのであればまだしも、多くの人と共同作業なのでとて難しい。進めていた作業が全く無駄になることは少なくないと思います。
全体像確認したときに目的からそれていると感じたときは今までやっていた作業を捨てる事も大切です。

これらをビジネス用語でまとめ上げて最初から教えてしまうことは容易いことです。しかし、自らで感じて、考えて、行動する事に意味があるのです。

人が文化を創り、文化が人を作る。
07年度の新卒生のお陰でスタイルメントにまた新しい有形と無形の文化が出来上がりました。
私たちはこれを大切にしていかなくてはなりません。社員全員で共有すること、伝えて続けてゆくこと。

スタイルメントとクロコソフトに08年度の新卒生が入社してきてくれました。
彼らには今までは社内報という形式でお願いしていたものを、ビジネスレターという形でクライアントに「良いデザインとは何か」的な事を伝えて欲しいとお願いしました。まだ直接その話を出来ていないのが少し残念ですが、それもまた組織という中の大切な「感じる」要素だです。大いに悩み、考え、そして創り出して欲しいと願っています。

2008年05月07日 01:23

野村太郎

1965年 神奈川県生まれ
1991年 シャープ株式会社入社
1997年 株式会社スタイルメント設立
2005年 株式会社野村デザイン研究所設立

現在
株式会社スタイルメント 代表取締役
株式会社野村デザイン研究所 代表取締役
株式会社クロコソフト 取締役
桑沢デザイン研究所 非常勤講師
デジタルハリウッド大学 客員教授

Stylement Inc.

不都合な真実

アル・ゴア (著), 枝廣 淳子 (翻訳)