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先日に引き続き新卒向け社長研修話題から。
R社というお付き合いを開始して4年目のクライアントについての話です。
研修では当時の担当K君からの視点で話をしてもらいましたので、僕の視点から書いておきます。
人が成長していくためには乗り越えて行かなくてはならない壁があります。
昔のことわざ?に「苦労は買ってでもしろ」というのがあるが、まさに苦労して壁を乗り越える事ができれば、同じような壁は軽く乗り越えることができますからね。
でも、乗り越えられないときは必ずあります。
そんなときは僕も一緒になって乗り越えて行きたいと思います。
R社は現在ではとても信頼感で結ばれ、最も大切なクライアントの一つです。
しかしその関係もはじめからそうだったわけではありません。
「この10年で一番思い出に残っている仕事は?」
と、ふと考えた事が有るんですが、真っ先に思い出したのがこのR社の事でした。
デザインを請け負うという仕事は、受注してからその仕事に合ったプロセスでスケジュールを作成し、それに合わせタスクを消化し、納品にこぎ着けるという仕事です。もちろん、基本のプロセスはあるのですが、あくまで基本は基本ですので、その時々の色々な状況によって変化させることが大切な事なのです。
R社からの依頼は大量なデザインを短納期に毎週毎週納品するといった、今まで私たちが行っていたデザインプロセスからはかなりかけ離れたものでした。
週に4,5本、月に20本以上の新規デザイン。
原稿入稿から納品までは非情に短納期。
こちらの窓口になる担当者1人に対し、クライアント側の担当者は7,8人。
この仕事を受けるにあたり相当悩みましたが、担当の方がとても魅力的だったこと、R社自体が社会的にとても魅力的な会社なこと、デザインの基礎を新人デザイナーに学ばせるのに大量のデザインというのは大切である事、などからこの仕事を受けさせて頂くことにしました。
仕事を頂くようになって初めの頃、それはもうクレームの嵐でした。
最悪の日は一日に何本もクレームのメールが到着してしまうような、最悪の状態でした。もちろん担当者は徹夜続きで帰れない日々が続いていました。
納品物だけ考えて、月に一度納品するだけであれば今までの仕事の仕方でも十分こなせた仕事ではあったのだが、毎週5本納品しなくてはならないこと、同時並行で15本くらいの仕事が構成、デザイン、制作、変更、修正、納品、等の様々なタスクが混在しているため、その整理だけでも相当な時間がかかってしまっていました。
ある日担当のK君とR社へ向かう山手線の中で「僕はこんな仕事をする為にこの会社に入ったわけじゃない、やりたいことがあるんです」と、ぼそり、クレーム対応と徹夜続きで完全に憔悴しきって、今にも「今日で辞めさせてください」と言い出しそうなK君に話をしました。
「やりたいことがあるのにこの仕事乗り越えられなかったら、やりたい事なんて絶対にできない」
と伝えましたが、K君は力なく頷きました。
それからが反撃開始。
私たちが掲げた目標は、「R社からの信頼を勝ち取る」
そのためには
私たちもR社もストレス無く進行し、体力的にも徹夜をしないで制作し、結果的に少しでも良いデザインを排出する。
さらに、当時は大赤字になっていた予算に対してもしっかりと利益を追求してゆく。
ということを意識していくことが大切。
そこからが方法論の構築です。
今考えれば制作現場におけるプロセスマネージメントという考え方です。
担当者は仕事を遂行していく際にはその仕事にのめり込んでしまい回りが見えなくなってしまう事があります。仕事が巨大で有ればあるほど、分からなくなってしまいます。そのためには今自分が何をしているかを、全体のプロセスからしっかりと把握する必要があるのです。要はミクロとマクロの視点を担当者に分かってもらうこと。
私たちがミスを犯してしまうのは、短納期なのに、いろいろな担当者から好きな時間に好きな事をいわれ、修正、変更を繰り返し、約束の時間に間に合わなくなってしまう事と、このようにしてくださいという制作のルールを渡されていて、そのルールが複雑だったこと。
しかし、これはR社の担当者が少しでも良い物を作っていきたいという現れで、私たちも出来るだけ、それに答え良い物を作って行こうと思い、必死になって答えていった結果からだったのです。
まずはクレームの内容をすべて洗い出すことから始まりました。それは今でも残っていますが、項目だけ見ても3ヶ月程度で100を超える、ものすごい量のクレームでした。
徹底的にワークフローの分析と再構築、それにともないタスクの分析と再構築。打ち合わせのルール化。チェック方法の再構築、メールヘッダ、内容の記述のしかた、デザインのフォーマットの新たなる考え、等々。ありとあらゆるモノをルール化し次々と提案。直ぐには受け入れてもらえないルールなどもあったが、再度見直し再提案していきながら、徐々にルール化することに成功していった。
その間、おおよそ、6ヶ月程度だっただろうか、ほぼクレームはゼロになった。
ほぼ、僕らの掲げた目標は達成できたのである。
K君はとても超えられないと思っていた壁を乗り越えることが出来たのです。
このプロセスマネージメントという仕事の仕方は、誰が何を何時どんな風に行うのかとう事を確実に作り込み、その進行管理と全体把握がとてもしやすく、ミスが起きても直ぐにその箇所を修正することが可能にすることが出来るようにするもの。タスクをやスタッフをブロック化して管理することが出来るので、デザイナーはデザインをする時間を以前より多く時間を掛けることができるようになり、そのクオリティも自然と高くすることが出来るようになるのである。
今では、そのルールの元で仕事が行われています。
僕がそのプロジェクトを見ることは全くありませんが、このプロジェクトの業績も認められ、R社からは他の案件も頂くようになりました。
K君もこの仕事からはなれ、少し自分のやりたい仕事に近づいていきました。
すこし残念なのは、そのルールはブック化してあるのだが、そのときに出来上がったルールからほとんどアップデートがされていないこと。ルールは時が経てば次第に色褪せてしまうのが常であり、技術的にも進歩しているので、そろそろ大幅なアップデートを行わなくてはならない。と思う今日この頃です。
R社の懐の深さに感謝。
と共に、
K君を始めこのルール化を一緒になって作ってくれたスタッフと、それをしっかりと守って進行してくれている現在のスタッフに感謝。
2007年06月06日 00:03
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不都合な真実
アル・ゴア (著), 枝廣 淳子 (翻訳) |